『高校入試、部活実技優遇か 口頭アピール「A評価しない申合せの可能性」 県立幕張総合高』
千葉日報オンライン 3/24(金) 7:23配信千葉県立幕張総合高校(千葉市美浜区)が普通科の前期選抜(入試)で、合否判定要素の「自己表現」について、口頭による自己アピールを選択した生徒に高い評価を与えないよう、ひそかに申し合わせていた疑いが23日、明らかになった。一方で、部活動の実技を選択した受験生は高評価が得られやすい仕組みだったが、外部に周知していなかったという。同校が説明した。
県教委は「申し合わせがあったなら、制度の透明性に加え、公平性の観点からも問題」と指摘。同校に詳しい調査と報告を求めた。
県庁で記者会見した同校の由利聡校長らによると、同校の前期選抜は、学力検査と調査書に加え、自己表現を必須採用。自己表現のうち、部活動(運動部15、文化部4)の能力を判定する実技を選ぶのは毎年400人前後で、この中の130人が、3段階評価で最上位の「A」になる。
これに対し、自己アピールを選ぶ生徒は600~700人程度いるが、A評価は1人かゼロだった。自己表現のA評価は学力検査の上位20%に次ぐ選考要素。
由利校長は、複数の教員への聞き取りで「自己アピールでは、なるべくA評価をしない申し合わせが数年前からあった可能性が高い」と説明。詳しい実態は把握していなかったとした上で「本校は部活動が大変盛んで、そうした生徒像を求める流れがあったのかもしれない。受験生や保護者に申し訳ない」と述べ、改善する意向を示した。近く保護者説明会も開く考え。
この件については、千葉県の県立高校では定番の話。なぜ前期選抜がなくならないのか。なぜ入試制度が一本化しないのか、の答えはここにある。
現在県立高校入試において工業・商業などの専門学科の募集枠が前期100%になったが、後期100%という話は出たためしが無い。今一度確認しておこう、前期選抜は各校独自の基準、後期は県統一の基準で入試が行われる。前期はかつての特色化選抜の方針が踏襲されているのだ。
前期選抜2日目については加点基準を設けている学校もあるが、今回の幕張総合は具体的な加点は示さず、A,B,Cの評価をつけることしか公表されていない。事実上、中学時代に部活動で高校の顧問の先生から声掛けがあった生徒は格段の配慮がなされて、概ね合格するということだ。だから前期選抜1日目の学力検査の得点が高い子が不合格となり、学力点の低かった子が合格してしまう、そういうことが起きるのも珍しいことではない。
千葉県は私の知る限り浦安市を除いて、定期試験3日前にやっと部活動が休止するくらいに「勉強よりも部活動」に比重が置かれている。学校の先生としては、「お前たちは勉強でうまくいかなくても部活動があるじゃないか」と、学校の先生自身も部活動に燃えて実績を出すことに自身のプライドを保っている、と言えるのではないか。そういう風に、今回の件は高校だけの問題ではなく、中学全校を巻き込んで、千葉県全体のそういう風土なのだ、ということで透明化させるなんて正義は口先だけで終わるだろうと私は見ている。
この観点から、千葉県における入試制度一本化も非現実的ではないだろうか。まして後期100%は有り得ないし、今の専門学科で導入した前期100%を普通科にも拡大したところで、それは不透明な選抜枠を増やしますよ、ということになるから、むしろクリーンな後期選抜が消滅するということで、痛し痒しで現行の2段階制度は維持されると思う。しかしながら、前期選抜で不合格になった生徒の後期選抜までの2週間は何とも不毛な空白期間(気持ちの上でも)であり、生徒と家庭への負担を踏まえて2段階制度は消滅させるべき、という私の立場は変わらないが。