テスト対策における塾の役割

塾にとってテスト対策が難しいのは「塾がどこまで手を出すか?」という点である。

さまざまな対策問題を生徒に解かせ、その出来不出来を徹底的に管理すれば、確実に点数は取れる。以前は私もこの方針で動いていた。

しかし、ここには落とし穴があって、生徒の自主性を損ないやすい。つまり、100%のテスト対策のうち、塾が手掛けるのが50%や30%だったとしても生徒は残りの50%や70%を自分で補おうと思わずに「塾でテスト対策したから全部済んだ(自分でしなくてもいい)」と思ってしまうのである。

つまり、塾の行うテスト対策が、生徒自身に主体性をもたらすのではなく、他者への依存心を呼び起こしてしまうのだ。したがって、塾は中途半端にテスト対策へ手を出すべきではない。

また、仮に塾が特定の教科で100%のテスト対策を提供したとしても、9教科全てにおいて毎回100%の対策を担うことは無理である。結局、生徒本人の主体性を喚起するテスト対策しかあり得ないことになる。

さて、生徒がテスト勉強をするにあたって
◎現状の問題点は何か?
◎今回のテストの目標は何か?
◎本日何をするのか?(教材、ページまで具体的に)

この3点を確認することは、本人の主体性の妨げにならないし、むしろ当事者意識を高めるので、この問答が出来る段階の生徒には声掛けを行う。

私の印象としては10年くらい前までは、100%のうち40%の対策をしたら、残りの60%は生徒自身でカバーする動きが見られたが、近年においてこういった動きは期待できない。塾でやればやっただけ、その先は無いという実感だ。

結局、当塾においては目先に囚われず、テスト期間に掛からない通常の学習を120%のフルパワーで提供し、そこで実力を蓄積して解答力の土台にさせるという、超王道の「テスト対策」に勤しんでいることになる。